親の老人ホーム入居を考えるとき、「合わなかったら一時金はどうなるの?」と不安に感じる方は多いはずです。退去時の返金ルールを解説します。
老人ホームのクーリングオフ(短期解約特例制度)について
老人ホームのクーリングオフとは、正式には「短期解約特例制度」と呼ばれる制度です。有料老人ホームに入居してから90日以内(法令上は3か月)以内に契約を解除した場合、入居一時金などの前払金が原則として返還されます。「90日ルール」とも呼ばれ、平成24年4月1日に施行された改正老人福祉法で定められました。
この制度は、退去の理由を問いません。本人の都合でも、ホーム側の事情でも適用されます。対象となるのは、住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3種類です。
なお、訪問販売などで使われる特定商取引法のクーリングオフ(期間は8日以内)とは、別の制度です。
どれだけ下調べをしても、スタッフの対応やほかの入居者との相性は、実際に暮らしてみなければわかりません。入居直後に持病が悪化し、入院が必要になることもあります。この制度があれば、「高額を払ったから我慢して住み続ける」必要はありません。お金を返してもらい、施設を選び直せます。親の施設選びを進める家族にとって、ぜひ知っておきたいルールです。
参照元:LIFULL介護(https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/cooling_off/)
参照元:SunCity(https://hcm-suncity.co.jp/suncity/column/nursing-home/short-term-cancel-rule.html)
返還対象となるお金は?
返還の対象は、入居時に支払った入居一時金などの前払金です。前払金の一部を入居と同時に償却する「初期償却」を設定している施設もありますが、短期解約特例制度が適用される場合は、初期償却分も返還の対象になります。
制度の有無で、返還額には大きな差が出ます。たとえば、入居一時金2,000万円(初期償却30%)、月額利用料20万円の施設を10日で退去したケースを考えてみましょう。制度がなかった頃は、初期償却分600万円と1か月分の利用料が差し引かれ、返金は1,380万円でした。制度が適用されると、日割りの家賃などを差し引いた約1,993万円が戻ってきます。
参照元:LIFULL介護(https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/cooling_off/)
90日を超えた場合は?
入居から90日を超えて退去した場合は、短期解約特例制度の対象外です。その場合は、施設ごとの契約で定められた返還規定に従って精算します。
前払金は、入居者が住み続けると想定される期間(想定居住期間)をかけて償却されます。そのため、想定居住期間内に退去すると、契約終了から想定居住期間の満了までの利用料に相当する額が返還されます。一方で、初期償却分は返ってきません。また、想定居住期間を過ぎてからの退去では、返還されるお金はありません。
初期償却の割合には統一基準がなく、0%の施設もあれば30%の施設もあります。契約前には、次の4点を確認しておきましょう。
- 初期償却の割合
- 初期償却が行われるタイミング
- 償却期間(何年・何か月か)
- 償却の単位(月ごとか、年ごとか)
参照元:消費者委員会(https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/121/doc/121_130521_shiryou2-1.pdf)
参照元:SunCity(https://hcm-suncity.co.jp/suncity/column/nursing-home/short-term-cancel-rule.html)
参照元:LIFULL介護(https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/cooling_off/)
支払っていた生活費などは返還されない?
短期解約特例制度が適用されても、実際に暮らした期間の費用は返還されません。差し引かれるのは、主に次の費用です。
- 日割りの家賃
- 入居日数分の水道光熱費や食費
- 居室の原状回復費
返還額の計算方法は、施設によって異なります。契約書や重要事項説明書で精算方法を事前に確認し、わからない点は納得できるまで説明を受けましょう。
制度について施設トラブルになった場合どこに相談する?
返金について施設と話し合っても解決しない場合は、次の窓口に相談できます。
役所の窓口
入居している施設がある都道府県や市区町村の、高齢福祉課や介護保険課などに相談できます。内容によっては、行政から施設へ改善指導を行ってもらえます。
消費者ホットライン
局番なしの「188(いやや)」に電話すると、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。解決の糸口をどう探せばよいか、案内してもらえます。
国保連
国保連(国民健康保険団体連合会)は、各都道府県に設置されている団体です。介護保険サービスに関する苦情の受付や、事業者への指導・助言を行っており、施設内で受けている介護サービスの内容に関するトラブルの相談先になります。前払金の返金など契約・お金に関するトラブルは、役所の窓口や消費者ホットラインに相談しましょう。
法律相談窓口
法的な対応が必要な場合は、法テラス(日本司法支援センター)のサポートダイヤル「0570-078374」に相談しましょう。相談内容に合った法制度や手続き、相談窓口を無料で案内してもらえます(通話料は利用者負担です)。
参照元:LIFULL介護(https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/cooling_off/)
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