当記事では、老人ホームで起こる可能性のあるトラブルについて紹介しています。必要に応じて施設のスタッフや専門機関に相談しつつ、適切に対処することが大切です。
老人ホームでの人間関係のトラブルについて
入居者同士の悪口・仲間はずれ
集団生活の中で、誰かがちょっとしたうわさ話や悪口を口にするのはよくあることです。「センスが悪い」「身体の動かし方が変」など、心無い発言を投げかけられたとき、受け流すことができる場合もあります。しかし、相手に言い返さなければ気が済まないことも。そのような場合、ときに人間関係の大きなトラブルへと発展してしまう可能性を否定できません。
老人ホーム内でも、たとえばもともと同じサークル内で親しくしていたとしても、ささいな意見の相違から関係が悪化し、お互いが直接本音を言い合うことができなかったとします。相手が同じサークル内の別のメンバーに愚痴を言いふらすことで、いじめのような状況に陥る可能性も充分に考えられます。
他入居者との距離感のトラブル
他人との付き合いにおいて、快適さを感じる距離感は人それぞれです。人と会話するのが好きな人と、一人で過ごす時間が好きな人とでは、距離感は異なるでしょう。
ひとりで暮らしている場合には何の問題もありませんが、共同生活を営む老人ホームでは、距離感を尊重し合わなければ、お互いにストレスを抱えながら過ごすことになってしまいます。認知症が進んでいる入居者であれば、コミュニケーションをスムーズにとることも容易ではないでしょう。最初は我慢していても、ストレスが溜まり過ぎれば、やはりトラブルが生じやすくなります。
スタッフの態度によるトラブル
スタッフの対応が原因となり、入居者が不満や嫉妬を感じてしまうケースがあります。スタッフは適切に入居者に接しているつもりでも、接し方が冷たかったと感じる方もいるわけです。あるいは、スタッフが自分よりも他の入居者と親しくしているように感じられ、贔屓だとうったえることも。その結果、入居者間でトラブルへと発展する可能性があるのです。
他の入居者を見て孤独感を覚える
自分と他の入居者とを比べ、孤独を感じてしまうことがあります。夫婦の入居者や家族が頻繁に面会に訪れる入居者を見ているうちに、孤独感が高まってしまうのです。孤独感が高まることによって、トラブルが生じやすくなります。
また、長年暮らしてきた自宅を離れ老人ホームへ入居し、慣れない環境で新しい生活がスタートしたことで、社会的な居場所を失ってしまったように思われ、孤独感だけでなく喪失感にも苛まれてしまう方もいます。
認知症によるトラブル
認知症が原因で、容易に人間関係の悪化が生じることも。 たとえば、認知症を患っている入居者が、些細なことで腹を立て、大きな声を出したり周囲の人に掴みかかったりするため、他の入居者が怖がっているとします。当然その入居者から人々が離れていくため、さらに不安感が増すという悪循環に陥るのです。そうなると、トラブルが発生する頻度も高くなり、ますます孤立が進んでいくことになります。
また、認知症による記憶障害で、物の所在を思い出せなくなった結果、「盗まれた」と思い込むようになってしまう方もいます。他の入居者やスタッフを泥棒扱いするなどして、人間関係はどんどん険悪になっていきます。
老人ホーム内のトラブルに家族が行える対策は?
信頼できるスタッフに相談する
家族だけで対応しようとするのではなく、まずは信頼しているスタッフに相談してみることをおすすめします。ホーム長だけでなく、ケアマネージャーや生活相談員など、必要に応じて相談しプロの意見を得るようにしてください。トラブルの仲裁をしてくれることもあります。仲裁が上手くいかなかった場合も、仲たがいしている2人の席を離すなど、さまざまな対策を講じてくれるはずです。
なお、施設サイドに相談する際は、感情的になってしまいそうなケースでも、冷静に話し合う姿勢を大切にしましょう。客観的な事実をふまえて話し合うことで、トラブルを適切に把握した上で、解決策を考えていくことが可能になります。また、ご本人やご家族が希望する解決方法がある場合には、たとえば「食事のスケジュールをずらしてほしい」など、できるだけ具体的に提案するのがポイントです。
専門機関へ相談する
老人ホームのスタッフに何度相談しても解決策を導き出せなかった場合には、あくまで最終手段としてではありますが、次のような専門機関に相談することも可能です。
- 【介護保険課・地域包括支援センター】
自治体に窓口を設け、介護保険関連の幅広い相談を受け付けています。老人ホームでのトラブルについてアドバイスを求めることもできます。介護サービスへの疑問点を、専門的な立場から、そして中立的な視点から整理するところから始めたい場合に適しています。 - 【各都道府県の国民健康保険団体連合会】
国保連と呼ばれる専門機関です。主な役割は、介護保険法に沿って苦情処理を行うことです。老人ホームとご本人、あるいはご本人と他の入居者の意見が完全に対立しており、当事者だけで問題を解決するのが困難な場合などの相談先として、適しています。 - 【第三者委員会・福祉オンブズマン など】
行政や施設から独立した機関です。相談者に対して、公正なアドバイスを提供しています。老人ホームやご本人、そしてご家族などの考え方を総合的に考慮した上で、問題解決のための調整を行うこともあります。
他の老人ホームへの転居を検討する
トラブルの当事者同士が、今後再び別のトラブルを起こす可能性が高いと感じられるのであれば、別の老人ホームに入居し直してみるのもひとつの方法です。
ただ、老人ホームが変われば生活環境が全く同じということはなく、ご本人が環境の変化によるストレスを強く感じてしまう場合もあります。住み替えを選択肢に加える場合には、慎重に検討を重ねた上で判断することが大切です。
トラブルを事前に防ぐには
入居前に親の性格や健康状態を伝えておく
ご本人の健康状態や性格、さらに習慣についても、できるかぎり詳細に入居予定の老人ホームに伝えておくことで、トラブルの発生を回避しやすくなります。
たとえば「他人との距離感が近すぎる方を苦手としている」「一人で食事をするのを好む」といった情報や、これまで起こしたトラブルがあればその内容も併せて説明すれば、施設側もどのように対応すべきか検討しやすくなります。
また、ご本人が認知症を患っていて記憶障害や見当識障害などが見られる場合も、その旨を必ず事前に伝えておきましょう。他の入居者とのトラブルの原因になりやすい症状であるためです。
対応力の高い老人ホームを選ぶ
トラブルが発生した際、スムーズに対応するための体制が整っている老人ホームを選ぶことが大切です。スタッフの対応力の高さや気軽に利用できる相談窓口の有無、そして適切な情報共有が行われていることなどを、事前に確認しておきましょう。
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