老人ホームに入居しても、身体の状況の変化で退去を求められる場合があります。事前に退去要件を把握しましょう。
老人ホームで退去を求められる主な5つの理由
他の入居者・スタッフへの暴力や迷惑行為
老人ホームでは、他の入居者や施設スタッフに対する暴力行為、大声などの迷惑行為が継続し、通常の介護で対応困難な場合に退去を求められます。こうした行為は、認知症による症状や、環境変化のストレスが原因であるケースが少なくありません。しかし、施設側でのケアや改善が難しく、他の入居者に危害が及ぶ恐れがある場合は、安全確保の観点から退去の対象となります。
継続的な医療行為が必要になった
入居後に状態が変化し、継続的な医療行為が必要になった場合も退去の理由となります。例えば「経管栄養(胃ろう等)」「インスリン注射」「たんの吸引」などが頻繁に必要になったケースです。これらは医療職や一部の介護職しか行えないため、医療職の配置がない、または夜間対応ができない施設では継続してケアを行えません。その結果、安全確保の観点から退去を求められます。
3か月以上の長期入院で復帰の見通しが立たない
病気やケガで長期間入院し、施設への復帰のめどが立たない場合は退去勧告の対象となります。多くの老人ホームでは、入院期間の期限を「3か月」と定めています。施設を不在にしていても家賃などの支払いは発生し、入院費との二重負担が生じます。また、退院後に医療依存度が高まり、元の施設での対応が困難になるケースもあるため、退去して医療対応可能な施設へ移る判断が必要になります。
月額利用料の滞納・支払い継続が困難
経済的な事情で月額利用料の支払いが困難になり、滞納が続いた場合も退去の対象です。本人からの支払いが滞ると、連帯保証人や身元引受人に請求が行きます。それでも一定の猶予期間内に支払いの見通しが立たない場合は退去勧告を受けます。支払いが不可能な場合は、速やかに予算に見合った別の施設を探す必要があります。
介護度が変わり施設の対応範囲を超えてしまった
入居後に要介護度が変化し、施設が規定する対象範囲から外れた場合も退去の対象となります。自立や軽度向けを前提とした施設で重度化し、24時間介護が必要になった場合などです。現在の人員配置では安全な生活を確保できないと判断されるため、手厚い介護が可能な施設やグループホームへの転居が必要になります。
住宅型有料老人ホームで特に退去になりやすいケース
住宅型有料老人ホームは、介護が必要な場合に外部の訪問サービスを利用する施設です。そのため、特に退去になりやすいのが「医療依存度の高まり」と「認知症の進行」です。
住宅型は看護師の配置義務がないことが多く、日常的な医療行為に対応しきれません。退院後に24時間のたん吸引や胃ろうの管理が必要になった場合、夜間の対応ができず退去を求められるケースが目立ちます。
また、認知症が進行して他の入居者への迷惑行為が増えたり、常時見守りが必要になったりした場合も、外部サービスの範囲を超えてしまいます。状態が重度化した際の受け入れ体制に限界があるため、継続的な生活が困難になり退去に至りやすいのです。
退去勧告を受けた後の流れと相談窓口
老人ホームから退去勧告を受けても、即日退去する必要はありません。一般的には、次の転居先を探すために「90日間」の猶予期間が設けられます。まずは慌てずに今後の対応を検討しましょう。
退去理由に納得がいかない場合や施設探しに不安がある場合は、施設の管理者から十分な説明を受けるとともに、外部の相談窓口を活用してください。市区町村の「地域包括支援センター」や「国民健康保険団体連合会(国保連)」などの第三者機関に相談することで、専門家から中立的な助言や、次の施設選びに向けたサポートを受けられます。
退去を回避する住宅型有料老人ホーム選びのポイント(大阪で選ぶ場合)
大阪で住宅型有料老人ホームを選ぶ際、将来の退去リスクを回避するには入居前の確認が欠かせません。結論として「医療職の配置」と「重度化や認知症への対応範囲」を明確にすることが最も重要です。
まず、看護師の配置状況や提携医療機関との連携体制を確認しましょう。たん吸引や胃ろうなどの医療行為が必要になった場合、どこまで施設内で対応可能かを契約前に把握しておく必要があります。
また、認知症が進行したり要介護度が上がったりした際、退去せずに住み続けられるかも確認すべきポイントです。入居前には必ず施設を見学し、スタッフの対応や設備の状況をご自身の目で確かめ、ミスマッチを防ぎましょう。
退去時にかかる費用と入居一時金の返還
老人ホーム退去時は、費用の精算にご注意ください。まず、居室の「原状回復費用」です。経年劣化は施設負担ですが、入居者の過失による破損等がある場合は修繕費を請求されます。
また、入居時に支払った「入居一時金」は、居住期間に応じた未償却分が返還されます。ただし、初期償却分として一定割合が差し引かれ、償却期間を過ぎていれば返還金は0円になります。事前に契約書の返還規定をしっかり確認しておきましょう。
まとめ
老人ホームでは、医療行為の必要性、長期入院、費用の滞納、迷惑行為などによって退去を求められる場合があります。退去勧告を受けても90日の猶予があるため、まずは相談窓口を活用して冷静に対応しましょう。将来の退去を防ぐためには、入居前に医療体制や認知症への対応範囲、費用の返還規定を十分に確認することが重要です。
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